ベルサイユ宮殿の花火

  • 2007.08.06 Monday
  • 21:38



IL FUOCO ARTFICIALE








河川敷や海岸端といった自然のままの風景で

浴衣掛けで楽しむ日本の花火は、

情緒たっぷりです。

でも、

都市美や庭園美といった人間の造形物を、まるで

地表の

大彫刻のように浮き上がらせるヨーロッパ流の花火も、

それはそれは豪奢で感動的です。



ベルサイユ宮殿の花火。

もう30年も前なのですが、初めてのヨーロッパで目にした

ル・ノートルLe Notre 作の大庭園での花火の祭典。



実はこの日の目にした光の風景の、

その、あまりに強烈だった心の刻印が、

私のその後の人生をおそらくは決定的に、西洋庭園の

「秩序の美」

に、大きく舵取りをしてくれたようなものなのです。



ヨーロッパ的な美の哲学との邂逅。



余情のある「間」や、

闇に消え行く光の残滓に人の世の「無常」を重ねあわせる

日本の演歌的な花火とはまるで異質の、

それは喩えるなら

人類の、暴力的なまでの「美神への挑戦」でした。




宮殿に響き渡る音楽は、

ヘンデル作曲の「王宮の花火の音楽」「水上の音楽」。

華麗な金管に、

弦のユニゾンにあわせての打ち上げ花火の連続が

照明で浮かび上がった宮殿を、

そして背後の黒い森を、

凄まじい轟音のなかでまるで気が狂ったように照らし出します。



ティンパニーの連打、鳴り響く大砲の重低音、

それにすべての管楽器と弦の全合奏がかぶさって、

ハイライトのシーンでは、

地平線にまで一直線に地形を貫く大運河 Gran canal

両岸に並ぶ彫刻壺 urne から一斉に、

そして、

宮殿正面のアポロンの噴水からも一斉に、

漆黒の夜空にむけて炎の大噴水(仕掛け花火)が

光の柱廊となって夜空を照らしだすのです。




衝撃的でした。

日本の情緒的、象徴的な美学のありかたとはまったく異次元の

宇宙的な「美」の秩序を追求する論理が、

この世にはある・・・

芸術の女神アテネ、美の女神アフロディーテ、

そして、音楽の神アポロン、

庭園に居並ぶギリシャ神話の神々の彫像が一斉に、

美を、人生を、そして「芸術」を賛美してやまない、

力強い、ルネサンス的な饗宴の究極を、

私はこの夜初めて、・・・見て、しまったのです。









  • 0
    • -
    • -
    • -
    • -

    calendar

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << November 2018 >>

    selected entries

    archives

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM