聖書の花 〜 アガパンサス
- 2007.06.18 Monday
- 19:46

夏のはじめの今ごろの季節、
アガパンサス Agapanthus が街のあちらこちらで、
澄んだブルーの花を咲かせています。
日本人にはちょっと発音のしにくいネーミングなのですが、
この名前は、
世界で一番美しい花の名前だと・・・私は、思っています。
語源は、古ギリシャ語の「愛」を表す言葉、 アガペー agape 、
thusは「花」を表す接尾語ですから、
愛の花、という意味になります。
キリストの愛の花、と意訳してもいいかもしれません。
とはいえ、この花が聖書に記載があるわけでは、ないのです。
無限に惜しみなく、見返りを求めることもない、
純粋で、最高の「愛」のかたちを、
聖書の作者たちは
“agape”
という、ちょっと毛並みの違ったギリシャ系の言葉で、
本来はヘブライ語で編まれた聖書に刻んでいます。
人類愛を訴えつづける言葉、アガペー。
仏教の世界でも「大慈」「悲愛」と表されている美しい言葉です。
アガパンサス は、聖書や仏教の概念と共通の、
「愛」をその名に戴いているのです。
人を信じられなくなるような悲しい事件ばかりの昨今、
「愛」だなんて、
なんだか、もう別の次元の遺物みたいな言葉に思えるのに、
アガパンサスは、
人の誠実さ、人を大切に思うことの美しさを、
静かに、
私たちに伝えてくれている・・・。
白やブルーのアガパンサスを街で見かけるたびに、
この花はなんだか特別の役割をもった花のように、
私には思えるのです。

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